
投資の勧誘ではありません。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の商品・案件への投資を勧めるものではありません。予定利回り(想定利回り)は確定したものではありません。最終判断はご自身で行ってください。
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- ソーシャルレンディング・不動産クラウドファンディング・株式投資型は預金ではなく、元本は保証されません。
- 貸付先や物件・発行企業の状況によって、分配の遅延・減額、元本の一部または全部が戻らないことがあります。
- 運用期間中は原則として途中解約できない案件が多くあります。条件は各社の契約締結前交付書面で確認してください。
「1口1万円から不動産に投資」。不動産クラウドファンディングは、マンションやオフィス、ホテルなどの不動産に、少額から出資できる仕組みとして広がってきました。一方で、「優先劣後」「匿名組合」「不動産特定共同事業」など、募集ページには聞き慣れない言葉が並びます。
この記事では、不動産クラウドファンディングの仕組みとルールを、国土交通省と金融庁の資料をもとに整理します。特定の事業者や案件への投資を勧めるものではありません。
- 不動産クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法にもとづき、投資家の出資で不動産を取得・運用し、賃料や売却益を分配する仕組み
- 事業者は国土交通大臣・金融庁長官または都道府県知事の許可(小規模事業は登録)を受ける。許可番号は国土交通省の一覧や各社の公式サイトで確認できる
- 優先劣後出資は、損失が出たときに事業者の出資分(劣後)から先に負担する仕組み。劣後分を超える損失が出れば、投資家の元本も減る
- 契約の書面を受け取った日などから8日間は書面で契約を解除できる(クーリング・オフ)
- 2026年8月21日の改正で、利回りを表示する場合に算定方法や「予想にもとづき不確実である旨」の表示が求められるようになった
不動産クラウドファンディングの仕組み
国土交通省の資料によると、不動産特定共同事業法は、出資を募って不動産を売買・賃貸し、その収益を投資家に分配する事業について、許可などの制度を定めた法律です。1994年(平成6年)に制定され、業務の適正な運営と投資家の利益の保護を目的としています。2017年の改正で、インターネットで契約を結ぶ「電子取引業務」、いわゆる不動産クラウドファンディングに対応したルールが整えられました。
お金の流れは、おおむね次のとおりです。
| 段階 | 何が起きるか |
|---|---|
| ① 募集 | 事業者が、対象の不動産・運用期間・予定分配率などを示してファンドを募集する |
| ② 出資 | 投資家は事業者と不動産特定共同事業契約を結んで出資する。後で説明する優先劣後出資の形では、事業者自身も出資する |
| ③ 運用 | 事業者は集めたお金で不動産を取得し、賃貸や売却を行う |
| ④ 分配・償還 | 賃料収入や売却益から費用を差し引いた利益を、出資の割合などに応じて分配し、運用終了時に出資金を償還する |
国土交通省のハンドブックでは、不動産特定共同事業法にもとづくクラウドファンディングの実績が、2018年度(平成30年度)の26件・12.7億円から、2022年度(令和4年度)には419件・604.3億円に増えたと紹介されています。
出典:国土交通省「不動産特定共同事業法の概要」「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック」(2023年7月)(2026年10月13日確認)。
ソーシャルレンディングとの違い
ソーシャルレンディングは、集めたお金を企業などに貸し付け、その返済から分配を受ける仕組みでした(「ソーシャルレンディングとは」)。不動産クラウドファンディングは、事業者が不動産そのものを取得・運用し、その賃料や売却益から分配します。融資型にも不動産を担保にした案件がありますが、根拠になる法律と、投資家の受け取るお金の源が異なります。
事業者の許可と種類
不動産特定共同事業を行うには、国土交通大臣・金融庁長官、または都道府県知事の許可が必要です(小規模不動産特定共同事業は登録)。国土交通省の資料は、許可の主な要件として、宅地建物取引業の免許があること、財産的な基礎があること、事務所ごとに業務管理者を置くこと、オンラインで契約する場合は業務管理体制を整えることなどを挙げています。
事業者は、役割によって第1号から第4号に分かれ、それぞれ資本金の要件があります。
| 区分 | 役割(国土交通省の資料の要旨) | 資本金の要件 |
|---|---|---|
| 第1号事業者 | 投資家と契約を結び、不動産取引から生じる収益を分配する | 1億円 |
| 第2号事業者 | 第1号事業者の契約の締結の代理・媒介を行う | 1,000万円 |
| 第3号事業者 | 特例事業者(倒産隔離型のSPC)から委託を受けて不動産取引を行う | 5,000万円 |
| 第4号事業者 | 特例事業者の契約の締結の代理・媒介を行う | 1,000万円 |
出典:国土交通省「不動産特定共同事業法の概要」(2026年10月13日確認)。許可の一覧は国土交通省「不動産特定共同事業法に基づく事業者及び適格特例投資家一覧」で確認できます。
匿名組合型と任意組合型
不動産クラウドファンディングの契約には、主に匿名組合型と任意組合型があります。国土交通省は両方のモデル約款を公表しています。
- 匿名組合型:投資家は事業者に出資し、事業者が自分の名前で不動産を取得・運用する。投資家は不動産の所有者にはならず、利益の分配を受ける立場
- 任意組合型:投資家と事業者が組合をつくり、組合として不動産を共有する形
税金の扱いも異なります。国税庁の通達では、匿名組合の分配金は原則として雑所得、任意組合の利益は組合事業の内容に応じて不動産所得などに区分するとされています。詳しくは「クラウドファンディング投資の税金」で整理しています。

優先劣後出資とは
不動産クラウドファンディングの多くは、優先劣後出資という形をとっています。投資家が優先出資者、事業者が劣後出資者として、同じファンドに出資する仕組みです。
CREALの公式FAQでは、次のように説明されています。
- 不動産の売却時などに損失が出た場合、劣後出資者(事業者)の出資分から先に損失を引き受ける
- それによって、優先出資者(投資家)の元本が減るリスクを低くする
- 劣後出資の額を上回る損失が出た場合は、投資家の出資分も元本が減る
- 劣後出資の比率はファンドごとに異なり、劣後出資のないファンドもある
出典:CREAL「『優先劣後出資方式』とはどんな仕組みですか?」(2026年10月13日確認)。
総額1億円のファンドで、投資家の優先出資が9,000万円、事業者の劣後出資が1,000万円(劣後比率10%)だとします。物件の売却で損失が800万円出た場合、損失はまず事業者の1,000万円で吸収され、投資家の元本は計算上は減りません。損失が1,500万円なら、劣後分の1,000万円を超えた500万円は投資家の出資分から差し引かれます。
実際の損失の負担のしかたは、ファンドごとの契約で決まります。契約締結前の書面で確認してください。
優先劣後出資は、損失の一部を事業者が先に負担する仕組みであって、元本を保証するものではありません。劣後比率が何%か、物件の評価額がどう算定されたかを、あわせて見る必要があります。
クーリング・オフ
不動産特定共同事業法には、書面による契約の解除(クーリング・オフ)の定めがあります。国土交通省・金融庁の「電子取引業務ガイドライン」は、事業者がウェブサイトで表示する重要事項として、契約成立時の書面を受け取った日などから8日間は、書面により契約を解除できる旨を挙げています。
解除の方法や、解除が多いときに取引を続けられなくなるおそれなども表示項目になっています。具体的な手続きは、各社の案内と契約書面で確認してください。
出典:国土交通省「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」(2026年8月改訂)(2026年10月13日確認)。
2026年8月の制度改正
国土交通省は2026年8月21日、「投資家がよりわかりやすく安心して投資できる市場の整備に向けて」として、不動産特定共同事業法施行規則の改正を公布・施行し、監督の留意事項と電子取引業務ガイドラインも改正しました。主な内容は次のとおりです。
- 契約成立前に説明する事項を追加
- 財産管理報告書の記載事項を充実
- 電子取引業務を行う事業者のウェブサイトなどへの掲載事項を充実
改正後のガイドラインでは、利回りなどを表示する場合に、その算定方法と算定の基礎、そして「予想にもとづくものであり、不確実である旨」を表示することが求められています。利害関係人(グループ会社など)との取引の内容や、対象不動産の価格が妥当だと判断する根拠も、表示項目に加わりました。
出典:国土交通省 報道発表「『不動産特定共同事業法施行規則の一部を改正する命令』の公布等」(2026年8月21日)、同ガイドライン新旧対照表(金融庁掲載)(2026年10月13日確認)。一部の規定には経過措置があります。
どんなリスクがあるか
- 不動産の価格や賃料の変動:売却価格が想定を下回ったり、空室で賃料収入が減ったりすると、分配が減る・元本が減ることがある
- 劣後出資を超える損失:優先劣後出資でも、損失が劣後分を超えれば投資家の元本が減る
- 運用期間の延長・早期終了:売却の時期がずれると、償還が遅れたり、予定より早く終わったりする
- 途中解約・譲渡の制限:運用期間中は原則として解約できない、または条件が限られる案件が多い
- 事業者の経営状況:匿名組合型では、不動産は事業者の名義で保有されるため、事業者の経営の影響を受けることがある
ガイドラインでも、事業者が表示すべきリスクとして、業務や財産の状況の変化による元本欠損のおそれ、権利行使や譲渡の期間の制限、出資の元本の返還が保証されていない旨などが挙げられています。
主な事業者と許可番号
不動産クラウドファンディングの主な事業者と、公式サイトに書かれている許可番号です。並び順に優劣の意味はありません。条件の詳細は事業者の比較表と各社の公式サイトで、募集中の案件は募集中の案件一覧で確認できます。
| 事業者 | 許可(公式サイトの表記) |
|---|---|
| COZUCHI | 不動産特定共同事業 東京都知事 第60号 |
| CREAL(クリアル) | 不動産特定共同事業 金融庁長官・国土交通大臣 第135号 |
| Rimple(リンプル) | 不動産特定共同事業 金融庁長官・国土交通大臣 第90号 |
| TECROWD(テクラウド) | 不動産特定共同事業 神奈川県知事 第12号 |
出典:各社公式サイト(2026年10月13日確認)。
以下は各社の公式サイトへのリンクです。広告(PR)を含みます。申込みや条件の確認は、各社の公式サイトと契約締結前の書面で行ってください。
まとめ
不動産クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法の許可を受けた事業者が、投資家の出資で不動産を運用し、その収益を分配する仕組みです。優先劣後出資は損失の一部を事業者が先に負担する仕組みですが、元本の保証ではありません。
許可番号を確かめ、劣後比率・物件の価格の根拠・利害関係人との取引・運用期間と解約の条件を、契約締結前の書面で確認する。予定分配率(予定利回り)は予想にもとづく不確実な数字であることを前提に、最終判断はご自身で行ってください。
参考:国土交通省「不動産特定共同事業法の概要」「不動産特定共同事業等について」「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック」(2023年7月)「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」(2026年8月改訂)、国土交通省 報道発表(2026年8月21日)、金融庁 ガイドライン新旧対照表、国税庁 所得税基本通達36・37共-19〜21、CREAL 公式FAQ、各社公式サイト(いずれも2026年10月13日確認)


